6月22日(金)
この日は,午前中は佐藤先生の案内でコペンハーゲン観光。
午後から文部省とデンマーク教育大学への聞き取り調査だった。
必ず行くことになっているアンデルセンの人魚姫像。
世界三大がっかりの一つということだけど,それなりの優雅さはある。
アマリーエンボー宮殿。4つの建物群に囲まれた広場には,普通の人でも車で入れる。
広場の真ん中からは,建物の隙間を通して,フレデリクス教会が見られる。
それぞれの建物には,このように衛兵が立っている。
イギリスの衛兵のように微動だにしないというようなことはなく(努力はしてるのかもしれないが)結構動く。しかも,わりと短期間に行ったり来たりすることになっているらしい。
もっとも,その方がいろんな所に視線が動いていいのかもしれないとも思う。
驚いたのは,宮殿の建物に車が出入りすること。そのたびに,門番がドアを開け放つ。
■文部省
生田先生,高橋先生,山内君と僕で文部省のシニアアドバイザー,Steen Lassen氏を訪問した。
デンマークの情報教育,メディア教育について聞くのが目的。
現在,この領域についてそれぞれいろんな角度から国際比較をやっている。
北欧はなかなか情報が入ってこないので,良いチャンスだ。
文部省のある建物。この3階にLassen氏のオフィスがある。
デンマークの小中学校は9年生まで一貫教育。lower secondaryからupper secondaryへの進学が15〜16才にある。この段階で,10年生コースか進学コースを選ぶ。
進学コースには,ギムナジウム,hf(高等専門),hhx(職業系),htx(技術系)の4つの種類がある。この段階で,10年生コースか進学コースを選ぶ。進学は,試験ではなく,校長と先生の推薦による。
教育費は全て無料。Scandinavia Welfare Modelという。
デンマークでは,5年前から学校をインターネットに接続し始めた。
接続形態は全ての学校を1つのネットワークの下に配置する教育イントラネット型。
高校レベルでは,
・電子メール
・テレビ会議
・USENET GROUP
・First Class
・バーチャル図書館など特別なサービスへのアクセス
といった用途がある。
バーチャル図書館とは,学習に役立つサイトのリンク集のことで,サイトの品質を保証している。
このネットワークの立ち上げに各学校500万DKかかったそうだ。
あとは学校のランニングコストがかかっている。
具体的にどのような情報教育をやったりメディア利用をするかというのは,地方分権が徹底していて,各自治体任せ。
文部省はガイドラインをつくって,許可を与えるだけ。
従って,特別な教科をつくってもいいし,教科の中でやってもいい。
あまりアメリカのサイトは使いたくないのだけど,500万人のデンマーク国民のためにコンテンツを作るのは高くつく。技術系,科学系のものはアメリカのを使うことになる。
しかし,しだいに出版社の出す本がICTを含むようになってきた。
CDなどで副教材がついてくるので,そういった教科書を使いながらやっている。
メディアリテラシーについては,
“movie and technology”
“media knowledge”
といった教科がたてられているようだ。
日常的なICT利用は,強制ではなくrecommendationにとどめている。
しかし評価は考えていて,試験の時にも
・ICTを使わない従来のテスト問題
・ICTを使うテスト問題
の両方を準備して,受験者が選択する形式にしている。
例えば,作文は5時間の制限の中で,ハンドライティングとワープロのどちらをえらんでもいいというような形式。
ICTを使わないとできないような問題をどのようにつくるかという見直しをやってきた経緯もある。
それには国中の教科内容とICTに関して進んだ先生を集めて委員会を作った。
パソコンの普及は教師については100%。
子どもの3/4が家での予習に使っている。
3年前から“ICT Driving License”を発行していて,今では1/3 の小・中の先生がもっている。
2年後には2/3になる予定。
5年以内に,全教員がICTを駆使できるようになるといい。
でも,まあ年輩の先生には無理かも知れないといことだった。
■デンマーク教育大学
デンマーク教育大学は,来年度から3つの教育大学が統合されてできる。
Soeren Breitingは生物学教育の助教授。
Action Competency という概念を中心にした環境教育に取り組んでいる。
写真はそのための実践ガイドブック。
例えば…
子どもたちが道ばたで通行人にあめを配る。
少し先であめの包み紙がどうなったかを見ているグループがいる。
道に捨てるか,ゴミ箱に捨てるか…
このことから,ゴミと人の関係を考える。
これは,ゴミをポイ捨てするのはだめだと,口で言うのとは違う。
Action Competencyには,自分たちが環境対して何かできるという楽天的な意識を育てることが含まれる。どうもわれわれがやっていることと共通する部分が多いような気がする。
もらった資料を読んでみよう。
インタビュー終了後,教育大の前で。
ところで,ちょうど高校の卒業式にあたる日だった。
卒業した子たちは,こうやって親の運転するトラックに乗って,パレードをする。
みんな白い帽子をかぶっている。これが誇らしいようだ。
トラックでは,ビールを飲みながらおおさわぎ。
昔からの風習で,かつではこれが馬車だったそうだ。
この騒ぎが夜中までつづく。
誰もとがめないし,道ばたの人は手を振る。
おおらかな国だ。卒業に対するインセンティブにもなる。
デンマークにはこのような不細工な電車が走っている。
こっち向きに走ってくる。
これは,実は連結器になる。
ユニットをつないで列車を長くする。
そのとき,運転席は畳んでわきに収納される。
よく考えてあるなぁ。
どこの車かわからないけど,こんなものもあった。
うしろからみたら,こんな感じ。
安定は悪そうだ。
夕食は,Chinease Palaceという中華料理屋で。
なんのスープだったかなぁ。
料理はこのような台に乗せられる。下には固形燃料が燃えていて,料理をさまさないようにしている。
いろいろ頼んだ。
ビュッフェで有名なんだけど,実はあまり味がしなかった。
塩などをかけていただきました。
■この日の最後に…
有名なチボリ。でも,一度も行くことはありませんでした。
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