Frankfurt生活20週目

<8月19日(日)>

朝から一歩も動かず,明日のプレゼンの準備の続き。デモをするソフトがウィンドウズでしか動かないので,マックのウィンドウズ・エミュレータのチューニングから。新しいシステムで,しかもメモリーが十分でないのでかなり苦労した。それに,なぜかソフトにプレゼン用のデータを入れていると,途中で落ちる。息子のレッツノートを借りてやっても同じ。なぜかはわからん。この前までは正常に動いていた。そのうち検証しよう。とりあえず,少しずつ更新するとおちないので,時間をかけてなんとか完成。

初等教育資料の原稿の〆切も明日まで。午後は原稿執筆。メルボルンに行く前に少し書いていたのだけど,なくなっちゃったので1から書き直した。でも,書き直してよかった。全体の流れは,おそらく前よりもいい。言いたいことがうまく言えたように思う。11月号に載ります。

というわけで,いつになく早々に仕事が片付いた。夕食後は,みんなでグリューネブルグ公園にウォーキングに行った。公園を3周したところで,雨。それに雷。あわてて走って帰る一幕も。充実した1日だった。

自転車
前から写真をとりたかった幼児用自転車
ペダルがないから自転車とは言わないかなぁ
もっと小さい子用には,木でできたものもある
キックボードのような感じで,自転車のバランスに
慣れるためのもののようだ


看板
朝Dipfに行くと,あちこちに講演の看板が…
<8月20日(月)>

10時からDipfで講演。「Educational Reform in ICT Use in Japan」がタイトル。

「教育再生会議と中央教育審議会がカオスの中で新しい教育制度と教育課程をつくっている。その中で,ICTはそれなりに重要な位置をしめていて,全ての教員が5年内にICTを活用できるようにならなければならないし,そのための基準も運用され始めた。一方で,ICT活用を促進するデジタルコンテンツや評価の道具なども提供されている(これらの開発にはいろいろ関わっている)。」という話。それとデジタルコンテンツや評価ソフトウェアのデモンストレーション。

そんなに来ないだろうと思ってたら,オーディエンスが約20人。終了後の質疑も活発で,3〜40分議論した。とてもおもしろかった。中でも,「教育再生会議や中央教育審議会に教育科学者は何人いるの?」とか,「ICT活用とPISAとの関連の証拠はあるの?」とかいった質問は,そうだよね…と思いつつ答えることになった。みんないいところを突いてくる。頭が心地よく疲れる時間だった。

夜は,息子とかみさんの誕生日祝いと講演ご苦労さん会を,先週も行ったMeyer'sで。今日もおいしかった。ちょっと高めだけど,ここはお勧め。ただし,店員が早口で何を言っているのかわからんことがよくある。


<8月21日(火)>

今日からスペイン旅行。朝の便でマドリッドに飛んで,格安航空会社の便でグラナダに移動。グラナダは,もちろんアルハンブラ宮殿が目的地。到着までの予習で,どうも予約していないとチケットがとりにくいと知る。ホテルにチェックインしたときに聞いてみると,当日券は売り切れだと,あたりまえのように言う。可能性は,明日の早朝並ぶか(でも難しいって),ホテルのツアーにのっかるかだって。とりあえず,チケットオフィスに行ってみることにして,ホテルのツアーは保留。

途中の「日本語情報」の案内所で,チケット購入についてもう少し詳しく教えてもらったところ,やはり当日券購入はまったく無理らしい。仕方ないので,まずはアルバイシンの丘にバスで登って(歩いて登ると○○○人に首を絞められると脅されたけど),宮殿の全景を見た。ここは,夜景もきれいだということで,再度夜に来ることにして,一度ホテルに帰ったところ,ホテルのツアーはすでに完売。その後,ネット予約や電話予約などを試してみるも,功を奏さず。早朝に並ぶことにした。

夜。またアルバイシンの丘に登る。ライトアップされたアルハンブラ宮殿は,確かに美しい。

アルハンブラ宮殿には夜間チケットがある。これだと見るべき4箇所のうちの1つだけ,ナスル朝宮殿の内部にしか入れない(けど同じ値段)。とりあえず,最悪明日のチケットが手に入らなかったときのために,それに行くことにした。丘からはバス1本で着く。チケットは簡単に手に入った。

ナスル朝宮殿は,壁から天井から至る所,とても繊細な細工が施されていて,驚嘆。ところが,見るべきものの1つ,12頭のライオンに囲まれた噴水のまわりに木枠ができていて,どうやらライオンは出張中のようだった。それでも,建物のすばらしさを堪能して帰りの途につく(たまたまタクシーが通ったのでよかったのだけど,来なかったらどうやって帰れたのだろう…。歩きか?)。

アルハンブラ
アルバイシンの丘からアルハンブラをのぞむ

アルバイシンの丘
アルバイシンの丘も世界遺産
町は白壁の家ばかり
でも世界で一番危険な世界遺産なのだとさ


モロッコ人街
アルバイシンの丘のふもとには
モロッコ人街が続く

アルハンブラライトアップ
ライトアップされたアルハンブラ

アラブ人
アラブ人の家族
優しそうなお父ちゃんだった


ヘネラリフェの噴水
ヘネラリフェの噴水

アルバイシンの丘
アルハンブラからアルバイシンの街並みを見る

<8月22日(水)>

6時前に起きて現地には6時40分に到着。スペイン語で警備員になにやら聞かれたのだけどよくわからず,とりあえず昨日チケットを買ったところに並ぶ。すでに300人ほどの列ができている。まだ暗くて本も読めず。8時からチケットが販売される。

チケットは午前券(13時30分まで)と午後券(14時から)に分かれていて,その間ならいつでも入れる。ところが,チケットにはもう一つ30分きざみで時間帯が印字されている。この時間帯にしか,ナスル朝宮殿には入場できない。一度に300人に制限しているためだ。この時間が問題で,当日午後の列車に乗ることになっていたので,あまり遅い時間帯だと入れない。当然,売り出しは早い時間帯から売れていく。

7時半をまわったあたりで,ホテルの朝食をランチボックスにして,家族がもってきてくれた。ホテルの人が鼻歌を歌いながら作ってくれたらしい。並ぶのを息子と変わって,ベンチで朝ご飯。

8時になった。売り出しが始まっても,なかなか列が進まない。結局チケットを買えたのは,10時過ぎだった。3時間半並んだことになる。前にならんでいたアラブ人の5人家族(ちょっと話したりしてシンパシーも感じていたのだけど)とは,違う窓口だった。そうそう,実はもう一つ列ができていて,何だろうと思っていたら,途中でそれが自動販売機の列だということがわかった。しかも,遅くに並んだ人たちが先にチケットをもって,しかも入っていく。午前券を手に入れたんだ!そっちに並べば,早く手に入ったのに…と思っても後の祭り。

手に入れたチケットは午後券,ナスル朝宮殿の入場は16:00〜16:30。これで午後1の列車の選択肢はなくなって,18:50ので移動することに決定。一度,尾根の上にあるアルハンブラから下に降りて,町を散策。列車の駅にも行って,コルドバ行きのチケットを購入。12時半頃にアルハンブラに戻って,レストランで食事。13:30には入場を待つ列に加わった。あのアラブ人一家も少し後ろにいた。

ようやく入場。まだナスル朝宮殿までには時間があるので,ヘネラリフェという夏の離宮から。ここは今,噴水や花がとてもきれいに整備されている。来て良かった。それから,アルカサーバという要塞部分に移動。ここは正反対に岩と石の塔や要塞の遺跡。16:00前には見るものは見て,入場の列に並んだ。そこへ,例のアラブ人家族がやってきた。チケットコントロールの警備員の所にいって,騒動が起こる。どうも,15:00〜15:30のチケットを持っていたらしい。同じ時間にチケットを買っても,もらえる時間帯がずれるアンフェアな販売システムだということがわかった(自動販売機のことも含めてね)。で,アラブ人一家は「きのうもだめだった」とか「迷ったんだよ」とか言って食い下がっていたけど,どうにもならなかったらしい。かわいい男の子も一緒にならんでいて,Alhambra for Childrenという絵本を読んだりしていたので,とてもかわいそうだった。

こちらは,無事に入場。昨夜とちがって,細部の色がよく見える。部分的に青い色彩が残っている。ライオンは出張から帰ってなくて木枠のまま(9月中旬まで修復中なんだと)。

ナスル朝宮殿からの帰りは,昨夜は通らなかったパルタル庭園を通って出口まで向かう。ここも実に豪華に作られている。人の技術というものはすごいものだとあらためて感嘆した。

ところでガイドブックには,夏には午後からチケットを買いに行くと完売ということもある…と書かれている。これはあまりに控えめな表現。ここに行くときは,ともかく予約が必要。インターネットで予約できるし。


コルドバに着いたのは,9時半ごろ。ホテルが立派でうれしかった。コルドバのメインはメスキータというイスラムの影響を強く残す大聖堂。ここも夜景がきれいなので,荷物を置いて見に行く。本当ならローマ橋という橋を渡った対岸からの景色がいいらしいのだけど,これが工事中で渡れない。対岸からの眺めは断念して,食事に行った。うなぎの稚魚がおいしかった。

要塞の塔
要塞の塔
アルハンブラ全体が船の形で
ここが舳先にあたる


ナスル朝宮殿の壁
ナスル朝宮殿の壁の細工
石の細工で,これがほぼ前面にある
青い彩色が残っていて,元の状態だったら
どんなに素晴らしいか彷彿とさせる


パルタル庭園の噴水
パルタル庭園の池
ここは夜の見学では通らない
ランチボックス
ホテル名の入ったランチボックス
やたらたくさん入っていて
結局1日持ち歩くことになった
おかげで夜の移動中の空腹も満たしてくれた

<8月23日(木)>

メスキータの開館前に,少し周囲の町を散策。10時過ぎにメスキータに。ともかくとてつもない建物だというのが実感。イスラム教のモスクとして8世紀に建てられて,その後キリスト教の聖堂に改造された。カテドラルもすごいのだけど,ともかく二重アーチの柱が印象的だ。


コルドバは,これで終了。昼すぎのAVEという特急でマドリッドに移動。マドリッド到着は4時半。ホテルにチェックイン後,プラド美術館に。ベラスケスの「ラス・メニーナス」やブリューゲルの「死の勝利」など,気になる絵だけつまみ食いで見る。まじめに見るにはでかすぎる。


夜のメスキータ
ライトアップされたメスキータ
メスキータの2色の柱
メスキータ内にある二重アーチの柱
2色の縞模様が美しい
これが何百本もたっている
出土品
メスキータの下には,もっと昔の遺跡が埋もれている
出土品には顔を削られたレリーフがある
このあたりに,宗教的な闘争を感じる
クエンカの宙吊りの家
クエンカの旧市庁舎
宙吊りの家
崖っぷちにテラスを突きだして建っている


クエンカの町
クエンカの町全体も,断崖の上につくられている
<8月24日(金)>

朝のローカル電車でクエンカに行った。ローカル電車とはいっても,約2時間半かかる行程で停車駅は4つ。その間,ずっと荒野が続く。オリーブが植えられている所以外は,大きな木もなくて,岩肌が見えている。ほとんど人家もない。

クエンカは,断崖の上に作られた中世の町。実に不思議な光景だ。特に見所となっているのは,昔の市庁舎である宙吊りの家。断崖の先端に突き出すように建てられている。木製のテラスの下は,谷底。そこに立つのを想像するのも恐ろしい。町全体もなんとも言えない雰囲気をもっていて,いい所だった。

また2時間半かけてマドリッドに帰って,ピカソのゲルニカを拝む。昨年,バルセロナのピカソ美術館でこれができあがる工程のインスタレーション(というのかな…)を見たのだけど,これが本物。ここにも製造過程の写真がある。途中で,デザインが変更されていくのがわかる。なかなか興味深い。

夜は,エビ専門店。塩焼き,フリッター,オイルフォンデュを1皿ずつ頼んだ。塩焼きの海産物は久しぶり。その後,別の店でシーフード・パエリヤで締めくくり。目にも舌にもいいスペイン旅行だった。


<8月25日(土)>

昼の便でフランクフルトに帰る。これをハウプトヴァッヘのカフェで書いているけど,夕方6時の鐘が鳴っている。帰ってきた感じがする。明日からオーストリアで,28日にはウィーンの日本人学校で講演の予定。旅行が続く。


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