午後からフランクフルトに夕方のICEで移動。混み具合を読み違えて,座席がとれなかった。途中,2駅で停まるのだけど,どちらでも空席が出なかった。フランクフルトまで2時間,立ったまま。でも,着くまでに仕上げたい仕事があったので,立ったままキーボード打ち込み。意外に役に立ったのが,ガーメントケースの引き手。これを伸ばせば,上にPCをおける。両手をバランス良く保てば,下から1点,上から2点支持で何とか安定した状態を保てる。揺れるのを恐れつつも,フランクフルトに着く前に,仕事が仕上がった。
10月に初めて行ったZum Storch(コウノトリ亭)で晩ご飯。エビのサラダのエビも野菜もとてもおいしい。グリルしたエビの食感がいい感じ。Garaliaの地下で若干買い物をしてから寄宿。どの後,ホテルのLANで,できた仕事を順次送信して,一安心。明日から少し仕事しないで遊ぼう。
<2月9日(土)>
羽田の深夜便で,息子が到着。空港に迎えに行ったときには,もうついて珈琲を買って,後ろにいたのでしばらく気付かなかった。ホテルに一緒に戻って,朝ご飯。昔住んでたときに行った公園に行きたいというので行ってみたら,池が凍っていた。にもかかわらず,カモメが氷の上にいた。冷たくないのだろうね,鳥だから。…着氷が面白かった。飛んできた勢いで,足をついたらそのままスケーティング。歩いているときに,たまに滑るのがいるのも笑えた。 その後,ツァイル,レーマーなど,フランクフルトの中心部をいろいろまわって遊んだ。5年前とはかなりちがっているので,面白かっただろう。 |
ボッケンハイマー公園 |
発見!駅からバス1本で行ける場所にあった。夕食に行ってみると,結構大きなレストラン。客は少なかったけど…。でも,使える店が見つかった。実はローストチキンを食べるのは結構苦労する。旅行中だと,ナイフ,フォークがなかなか手に入りにくいから。レストランで食べられるのは,ありがたい。
友人に会いに行く息子について,ストラスブールに。今回初めてのフランス入国。到着後息子と別れて,2人でまわった。まずは,ノートルダム。近づくにつれて,古い町並みの美しさにおどろく。ヨーロッパは,ほんとにどこも中世とつながっている。教会では,日曜日なのでミサをやっていた。降ってくるオルガンの音は,やはりすごい。ここのドームのステンドグラスは,細かくて鮮やで美しい。耳も目も魅入られたまま教会を出た。聴いた賛美歌がしばらく耳から離れなかった。
ドームを離れて川に出た。河岸の家並みも,なんとも言えない。川沿いに,プロムナードがとても低い位置にある。増水するとおそらく沈むのだろうけど,そうでないときは,川が近い。乳母車をとめて川を眺める女性の風景がなんとも素敵だった。
ストラスブールの大聖堂(ノートルダム) |
イル川のほとり 乳母車の向こうに若い母親 |
この街には美術館,博物館がたくさんある。ルーベンスがあるというので,中世絵画の美術館を訪れた。でも1600年代ごろの絵はあまり多くなく,もう少し古いのが中心だったかな。特設展で,ルーテルブール(Loutherbourg:1740-1812)展をやっていた。たくさんあった風景画は,フランドルのライスダールに良く似た感じ。著名な絵としては,アルマダの海戦を描いた,「無敵艦隊の敗北」があるそうだ。海戦の時の舟の陣形の解説図などもあって,面白かった。 | 焼き栗の屋台がSLの形 |
その後,プチフランスを歩いたのだけど,しかし今日は寒かった。ここ,フランスという割には,ドイツ的な建物がたくさんある。右を見るとドイツ風,左を見るとフランス風という境目があったりして,おもしろい。でも,そういうのを見ると,やはり歴史を思い出す。ヨーロッパって,こういう歴史の宝庫なのだと感じる。そういうことも知っているのが,こちらの教養なのだろう。高校の世界史で事件の名前と年号は習うけど,詳しく知るチャンスはあまりない。ことばとしては知っていた「アルザス=ロレーヌ地方」とこの場所のイメージは来てみて初めてつながった。
プチフランス 左の区画はフランス風 |
プチフランス 右の区画はドイツ風 |
フランクフルトの北西部,ノルドヴェスト・ツェントルムの巨大ショッピングセンターに出かけた。広大すぎて,どこにいくべきかわからまいまま,多少の買い物をして,午後から再びフランクフルト中心部をうろうろ。息子の買い物につきあいつつまわった。日本にいたときも,めったにこんな事はなかったので,楽しかった。晩ご飯は,Meyerで。みんなで若干贅沢目に,ロブスターとステーキ。いい味とサービスだった。
凱旋門 |
2月12日(火)
あっという間に帰国する息子を見送ったあと,パリまでICEで移動。東駅からホテルまでがラッシュアワーと重なって大変だった。通路はせまいし階段だし,車両も小さくて大きな荷物には辛かった。それを3本乗り継いでチェックイン。その後,凱旋門からシャンゼリゼあたりで夕食を…と思って出かけた。 |
<2月13日(水)>
朝から出かけて,ルーブル美術館を再訪。前回は2時間ぐらいしかとれなかったので,今回はじっくり4時間ほどかけようと思った。フランドルあたりから初めて…と思ってリシュリュー翼にいたら,あっという間に昼になった。前に来たときには素通りしたものの中に,おもしろいものがたくさん見つかったのが楽しかった。例えば,マサイスの「両替商とその妻」。聖書をめくる手をとめて両替商が持つ金貨をちょっとトロンとした目で見るこの絵の含意はおいといて,よくよく見てみると聖書の横の凸面鏡のようなものに窓が映り込んでいる。窓際に人が居て,青空と教会の十字架が窓の向こうに見えている。これは何を意味するのだろう。こんな寓意を想像してると時間がいくらあっても足りない。 |
マサイスの『両替商とその妻』 に描かれた凸面鏡 |
お昼を食べてから,もう一度シュリー翼に行って,フラゴナールやワトーを観る。今回,かみさんのブームはアングルとワトー。ワトーの音楽に関係する絵をたくさん意識することになった。他に,エリザベート・ヴィジュ・ルブランの絵もよかったな。
海外の美術館では,現場で鑑賞の授業をしているのをよくみる。ここにPCを持ち込んで一所懸命メモしている学生がいた。日本ではあまり見かけないこの風景。こういうとき,マルチメディアは実物の代わりにはならないのだと思う。でも,他国でも全部の学校がルーブルの側にあるわけではないからなぁ。実物を味わえるのは,ほんの一部の子どもたち。
ルーブルでの鑑賞授業 かなり熱心に話を聞いている PCに聞いた話を打ち込んでいる学生がいる |
小学生のグループもいた 色とりどりのスモックを 着ているのがかわいい |
夜はオペラ座。ツィムリンスキーとラヴェルのオペラ。どちらも,1幕オペラで初めて観るもの。『こびと』は王女の誕生日の贈り物として連れて行かれて踊る。でも周りが自分の醜さを嗤っていることに気付かない。しかし,鏡で自分の姿を見て,嘆き悲しんで死んでしまう。王女の最後の言葉は,「次の玩具は,命のないものにしてね」。なんとも言えない物語。
『子どもと魔法』は,子どもが宿題をサボっているとママがお茶とお菓子を持ってくる。でも,サボっているのを見て怒る。子どもはキレてしまっていろんなものにあたりちらす。そしたら,こわされた人形,食器,いじめられた動物などが,仕返しに来る。でも,最後に,みんながとても優しい合唱で,「ほんとはこの子は良い子なんだよ,ママ」って歌ったところで目が覚めて,ママがほんとにお茶とお菓子を持ってきてハグする。
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オペラ座の天井:シャガールの絵だ |
『子どもと魔法』の最後の合唱が,ほんとに優しくて暖かくてきれいな合唱で,涙が出た。
夜のオペラ座 |
とても寒いパリの街をあちこち歩いた。お昼はクスクス。おいしかったけど,量が多い。午後からオルセー美術館に行った。ここも2度目。改修されたと聞いていたのだけど,全体に絵が明るく見えるようになったような気がした。ここでのインパクトは,ゴッホの「星降る夜,アルル」(ローヌ河の星月夜)。
帰りに,コンコルド広場に寄った。前に来たときはなかった観覧車がそびえていた。エッフェル塔や凱旋門の眺めを奪う明るさに,どうかと思ったものの,ルーブルのピラミッドと同じようにもうパリの風景なのだと思った。