<9月9日(日)>
K田君たちは,ライン下りに行ったはず。いよいよ原稿を急がねば。 朝からほとんど原稿書き。思わぬ所が例の事件で失われていたことが発覚。修復作業にも若干手間取る。 <9月10日(月)> 早朝起床で,ボニファティウス小学校を訪問。Wrede校長がなんとバイクで現れる。革ジャンを脱いだら,下はポロシャツ。元気!あとで聞いたら,子供に親しみをもってもらうためなんだそうだ。 まずは学校の概要。80%が移民で,37ヵ国の子供が通っている。したがって,親の教育熱が低くて大変なのだけど,州平均よりも2ポイント高い成績をあげている。校長は32のときになって22年勤続(日本ではあり得ない!)。 Berns先生のクラス(4年生=小学校の最終学年)を,始業前から参観した。8時には教室が開く。補習をしなければならない子供はこの時間に来る。もくもくと課題をやっていて,それを先生が個別指導する。本当は5人来るはずなんだけど,今朝は3人。その後,始業の8:45までにばらばらと子供が入ってくる。 9:00までがホームルーム。輪になって座って,まずは誕生日会。Happy Birthdayの歌が,ちがうのですよ,みんなが知っているのとは!それから数人,週末に何をしたのかスピーチしている。 1限目は算数。まずはテストを返す。それから「計算の世界」というドリルブックをやる。みんなページが違っている。個別進度学習なのだ。教師はずっと期間巡視で個別指導。 2限目は国語。なぜか専科の先生だった。ホームルームと同じ,週末に何をしたのかを輪になって一人一人話していく。スピーキングの時間らしい。朝のHRはこれの練習だったのかも…。そのあとフランクフルトという詩の朗読の授業に移行した。先生は非常勤から常勤に変わったばかりの人で,校長が引き抜いたのだから力はあるようだ。 3限目はサッハウンターリヒト。今日の内容は社会科。最近のテーマはフランクフルトらしい。現在のランドマークと場所を地図をみながら対応させる学習だ。意外にに子供は知らないんだ!8割ほどわかったので面白かった。灯台元暗しってやつだ。 4限目が音楽で専科の授業なので,この時間にもう一度校長先生の話を聞けた。Berns先生はとても良い教師だと感じたけど,やはりかなりの実力者だとみているらしい。どこがいいのかと聞くと,熱心さ,準備,子供へのあたり方など,いろいろあがってきた。 5限目は図工。雑誌の広告ページをちぎって,コラージュをやっていた。朝から元気なMクスくん,この時間も元気だった。なぜか授業中に帽子をかぶっては先生に注意される。席に帰る途中でまたかぶって注意される。おもしろいぞ,このこだわりは…。 <9月11日(火)> 教育委員会の教員研修課を訪問し,インタビューした。昨日の校長の話との対比がおもしろい。校長は,いろいろ研修がきびしくなっているけど,実際の現場にはあまり影響がないというし,こちらでは,しっかりやっているという。全ての教員が年間に1週間以上の研修を受ける義務が2年前からできたそうだ。内容はいろいろあって,フランクフルト市,ヘッセン州,それに大学や教会が提供するものがある。ただし,受けなくても罰はない。逆に,受けるとクレジットがたまる。これが,学校を変わったり職階をあげるときに参考にされるということだ。 他に,初任者研修は2年間。学校の中でやるもと,研修所でやる者がある。2年の終わりには試験がある。これが日本とのちがい。ここで教師になるには,大学を出たときに州の試験を受けて,初任研を受けたあとで試験にパスしなければならないということだ。そして,中・高では2科目専門が必要。小学校は,ドイツ語,英語ともう1つ。なかなか大変だ。その他,いろいろな話を聞いて,資料ももらって充実したインタビューだった。 | ボニファティウス小学校 朝の補習 教師は個別指導 ホームルームで 黒板係,プリント係,花の水やり係を確認 |
算数のドリル教材 子供によって10ページほどやってる場所がちがう まだ新学年なのに |
自学でその間教師は個別指導 |
国語の時間の初めはスピーチ |
後半は,ワークシートで単語を使った作文 |
ザッハウンターリヒトでランドマーク調べ |
壁には,フランクフルトにある塔の写真が掲示されている |
資料集「フランクフルト」 フランクフルトの昔の町の地図 |
子供の1人が司会をしながら答え合わせ |
ドイツ語辞典 たくさん置いてあって一斉に使える |
カード教材もある これは知識を定着させるトリビア系の教材 |
個人の道具入れ |
一人一人のポートフォリオもある |
現代美術館の通り 何度も前を通っていたのに,ここに音楽学校があるのは 知らなかった 入り口の看板はこんなもの とても質素 ミニコンサート 曲が変わるとその曲にあった風景が写される |
<9月12日(水)> 論文の追い込み。時間がないぞ〜。 <9月13日(木)> ドイツの学校は1時半で終わる(最近は4時頃まで授業を提供する学校も増えているのだけど)。その後は,家に帰って子供によっては社会教育に参加する。スポーツとか音楽。 その施設の一つ,フランクフルト音楽学校の視察と校長先生へのインタビューができた。旧市庁舎にある現代美術館の中にある。ここはフランクフルト市が52%,ヘッセン州が18%,親は30%の費用負担。今年度から親と一緒の1才半からのコースができた。まず見たのは4〜6才児の基礎音楽。音楽に合わせて,ハンカチーフを振って踊る。輪の真ん中の子がやったものを周りの子が真似をする。 6才からは楽器のレッスンになる。この切り替わりがおもしろい。ラウンドアバウトという期間があって,バイオリン,チェロ,ピアノ,ギター,フルートを順番にやってみて,自分が習う楽器を決めるのだそうだ。決まったあとはその楽器の専門の先生のレッスンになる。 この学校はフランクフルトに80箇所のレッスン所をもっていて,現代美術館の中のここが一番大きい。生徒数の36%が通っている。生徒は全部で4000人。教師は120人。すごい数だ。子供だけでなく,生涯学習にも対応していて,最高齢の生徒は75才だそうだ。 レッスンもみたけど,それは普通の楽器のレッスンかな。習っている子の技量はそう高くない。 <9月14日(木)> 昨日の音楽学校で,ミニコンサートがあるというので行ってみた。親や小さい子が100人ほど囲んだ座席の前に,ステージがある。司会者がパイロットの格好をしてできた。80日間世界一周がテーマ。まずみんなで世界一周の歌を歌う。4回ほど練習。その後,バイオリンやピアノ,ファゴット,フルートなどの演奏が続く。つっかえつっかえの子もいてそんなにうまくはない。でも,演奏が終わると司会者が必ずインタビューする。年齢は?どれくらいやってるの?バイオリンのここは何でできてるの?フルートは何楽器?など,いろいろ聞いて,もう一度みんなの拍手を誘う。演奏者はとってもたくさんの拍手をもらって,にこにこ笑ってステージからひく。それから次の曲はどこの曲で…という紹介があって,その国に合わせて最初の歌の国の部分を入れ替えてみんなで合唱。いい雰囲気だ。そして,見ている小さな子は,いろんな楽器について覚えていくし,どれをやりたいかと考えるようになっている。 都合,10回ほどいろんな国の音楽を聞いて,歌を歌って1時間ちょっとのミニコンサートが終了した。 夜は9月になって再会したAlte Operのアウフタクトコンサート。シーズンの始めのコンサートをこう呼ぶ。ドイツ・ユーゲント(青年)弦楽オーケストラの演奏会だった。演目は…
シチェドリンは緊張感がある演奏だったのだけど,あまり曲自体に納得できず。トゥールは現代音楽でそれなり。チャイコフスキーが思ったよりはあまりよくない。フィッシャーは最近フランクフルト音大の教授になったらしいのだけど,オーケストラと合わせる感じがない。逆に指揮とオーケストラの問題か?反応が良くないのだろうか?でも,フィッシャー,勝手に弾きすぎのような気がするな。弓さばきは魅せるし,テクニックもあるのだけど,アンサンブルになってなくてちょっと残念。 <9月15日(土)> 論文作成までの最期の日。頑張っても全部はできないし(日本にしかない資料もあるし),できるところまではなんとかしたい。全体の流れが見えるところまではやっておきたい。夜遅くまでやって,できたところまで印刷も始めた。 |